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神の存在証明

神の存在は信仰をもつ人には疑い得ないことで、無神論者にこそ必要なことと考えられがちである。そのためか、無神論者が多い日本人には割と関心の高いのが「神の存在証明」。むろん、神は信じる対象であって証明する対象ではないというのが通り相場の意見。 …

学習の変遷

20世紀後半からの情報革命は目覚ましい。コンピューターを中心に情報や知識の扱いがすっかり変わり、社会はいつの間にか情報社会と呼ばれている。情報や知識の変化に応じて学習形態はすっかり姿を変えた。そのせいか、昔の学習の仕方、使ったテキスト等が最…

習慣の裏表

(知識にならない情報についての愚痴) SNSに登場する知識は日々の情報と区別がつかず、どんな知識も昨日の情報として忘れ去られ、未来の情報など実はデマに限りなく近い。Facebookの話など一日経つと古くなった価値のない情報に過ぎなくなり、時系列のどの…

湾岸風景

日曜の朝6時過ぎの湾岸風景、日本海側は大雪だというのに、晴れ渡っている。20分ほど時間が違うとすっかり光の加減が変わってしまう。子供の頃の2月と言えば、晴れた日は少なく、周りは雪だらけだったが… そんな風景を眺めるにつけ、豊洲新市場の静か過ぎる…

有明月

夜が明けても、空に残っている月が「有明月」と呼ばれるが、日本の風景として和歌や俳句に詠み込まれてきた。 (百人一首)坂上是則の歌朝ぼらけ 有明の月と 見るまでに 吉野の里に 降れる白雪 小林一茶の俳句有明や 晦日に近き 軒行燈 いずれともまるで違う…

懐疑こそ人の極み

人は人とものを疑い、その疑いが新たな疑いを生み、その結果、疑いだらけの世界が人の世界ということになります。疑念は人を不幸にし、争いを引き起こします。疑い合うことは時には殺し合うことにまでつながります。人が人やものを疑うことが悲惨な結末を生…

原子論:二重基準による成功

<二重基準> 物質と時空は異なったものであると明瞭に主張する(それゆえ、古典的な)原子論は、パルメニデス的な不変性を基本にした哲学を維持しながら運動変化を説明しようとする非常に優れた仮説だった。後に批判される基本概念の一つは「虚空(あるいは…

本所深川と小津安二郎

「本所の銕」と言えば、若い頃の長谷川平蔵。火付盗賊改めの「鬼の平蔵」だが、「本所深川」と言う地名がよく出てくる。隅田川の東側の深川、亀戸などは、江戸時代初期には低湿地で、行政上江戸市中とは区別され、本所村、中ノ郷村等は勘定奉行の支配下に置…

古典的世界観の本性(2)

幾何学での点と線 点にサイズがあり、延長をもつとしてみよう。その延長の半分も延長であり、かつ延長の半分は元の延長の一部分である。よって、点は部分をもつことになり、「点は部分をもたない」という点の定義に反する。それゆえ、点にはサイズがない。ま…

春の表現

春の表現 立春は今の暦では春の僅かな兆しに過ぎない。立春が過ぎて寒さが強まることが不思議でないが、それでも植物は季節を見極める生得的な能力をもっていて、ほぼ正確に季節に反応し、暦に忠実である。いや、そうではなく、暦が植物の反応に忠実なのであ…

古典的世界観(1)への常套の批判や不満

いつものように大袈裟なタイトルだが、言いたいことは単純明解な次のこと。私のFacebookの友人たちは画像にうるさい方が多い。素晴らしい写真や動画がFacebook上に溢れている。きっと毎日「決定的瞬間」を撮りたいと思っておられる方が多いことだろう。そん…

古典的世界観の本性(1)

瞬間、連続、確定についての懐疑 私たちは自分が生きる生活世界はこうだと勝手に思い込み、それを殊更意識などせず暮らしている。日々の生活の中で心と身体には多くの習慣がしみ込み、それらには無頓着になっている。中でも自然に関しては「環境」という流行…

辰巳団地(都営辰巳一丁目アパート)

辰巳団地に走り込むと時間が逆戻りして昭和の世界だと錯覚してしまう。タイムスリップのような体験など滅多にないのだが、辰巳団地を走ると、いつも同じ印象を味わうことになる。それが懐かしく、甘酸っぱいのは私の青春と重なるからである。東京に出てきた…

個人主義は適応的ではない?

個人主義は近代以降の西欧社会の基本を支える思想の一つだということに文句を言う人はいない筈です。個人主義とは、他人と自分を天秤にかけた場合、他人ではなく自分を優先する考え方だと冷たく見放すことも、個人の生きる権利を擁護し、個人の自由意志を尊…

なぜ誰もが「故郷」に執心するのか:…故郷は初体験の塊だから

(私の故郷は新潟県妙高市) なぜ私たちは故郷に執着し、特別の愛着をもつのか。老人なら必ず持つ、ごくありふれた問いである。私のように若い頃は閉鎖的で退屈な故郷が嫌いだった者でも、歳をとると懐かしくなってくる。何とも人の気持ちはいい加減なもので…

雪月花

「雪月花(せつげっか)」はこれを読む越後の人にはえちごトキめき鉄道のリゾート列車の名称。車窓から上越の景色を楽しみながら、美味しい酒と食べ物を味わうという企画は見事に成功し、利用者の数は予想を超えている。 では、この名称の由来は何か。白居易…

2020年から日本の教育

2020年から日本の教育が変わり、「考える」ことが重視されると言われています。 「考える」ことの定義は、「食べる、走る」ことの定義と似たものかというと、それは違うというのが過去に私たちが手に入れた常識で、結局大したことはわかりませんでした。「X…

「自然の数学化」についての一般的な現象学的な意見、態度

数学化と世界観 フッサールの『ヨーロッパ諸学の危機と超越論的現象学』では、どのように自然が「数学化」、つまり、世界はすべて数値化できる、といった考えが生まれたかを、仔細に明らかにしている。なぜ諸学問は危機に陥ったのか。そしてそれを、なぜ現象…

定年間近い物理学者が酒を飲みながら愚痴った本心の幾つかと学生の反応

愚痴1 過去の哲学者や物理学者が尊敬される理由は、彼らが誤っていたからである。その誤りから正しい答えが見つかった。それゆえ、彼らの誤りは正に尊敬に値する刺激なのだ、と彼は言う。アリストテレスもガリレオも、デカルトもニュートンもみな誤っていた…

Zeno’s Paradox, Supertask, Thomson’s Lamp, Sorites, Induction and Other More

(タスク、行為、出来事、そして、スーパータスク) 世界の中で何かが起こり、私たちは何をするか決めて実行する。それらはそれぞれ出来事、行為と呼ばれる。これら出来事、行為、そしてタスク(課題)の間にどのような違いがあるのだろうか。何かをするとい…

コイン投げは確定的、それとも不確定的?

1はじめに「確定的」とか「確率的」、あるいは「決定(論)的」とか「非決定(論)的」と言われる事柄がどのようなことなのか明らかにしてみたい。「確定的なのか、それとも確率的なのか」という問いは基本的で単純な問いなので、十分な議論が展開され、満足…

 多様性についての問題と解答例

(二回に分けて述べた話を一つにまとめ、加筆訂正したものです。) 「生物多様性(biodiversity)を守ることが生態系を持続可能にする鍵だとすれば、一つの社会で人種の多様性(racial diversity)を守ることがその社会を持続させる鍵である。」という言明が…

Alternative facts

この数日「Alternative facts」という言葉をよく聞く。その経緯は次のような説明でおよそわかるだろう。報道を正確に辿るには私の訳より、原文の方が適切だろう。 "Alternative facts" is a phrase used by Counselor to the President Kellyanne Conway dur…

持続可能なシナリオが孕むパラドクス:持続し続けるものなど地上にはない

「「環境保全の試み」という試みはパラドクスを内に含んでいる」と言うと、また哲学の人騒がせな虚言かと勘ぐられるのが落ちだが、実は生者必滅が成り立つどのような事柄にも共通のことに過ぎないのである。医療の理想は病気による死者の撲滅であるが、一方…

横文字レトリックの裏側

「妙高Future Session!…妙高市では、観光庁が掲げる日本版DMO(Destination Management Organization)の機能を持つ組織として、妙高観光推進協議会が「妙高版DMO」として2016年に発足しました…観光の活性化だけでなく妙高市全体で楽しく暮らしていけるよう…

滅びの美学:『平家物語』と限界集落

世界規模での地球温暖化や格差社会、人口増大や貧困、日本での少子高齢化といった問題に直面し、自然や社会の持続可能な存続を模索するという試みや話が最近は滅法多い。私自身、そんな話をよく聞き、自分でも考え、書いたりもする。絶滅、消滅をどのように…

1歳半の赤ちゃんは他者を気遣っている

九州大学大学院の人間環境学研究院橋彌和秀准教授らの研究グループは、1歳半の赤ちゃんが「第三者」の立場から、知識や注意の状態の違いを認識し、「他者を気遣っている」と報告(2017年1月18日に国際学術誌Frontiers in Psychologyでオンライン公開)。 研…

国立公園内の環境保全のための基本的な考え方

(1)持続可能性(Sustainability) 「持続可能性」は「地球温暖化」や「外来生物」と並んで、疑似科学的(pseudo-scientific)な概念の一つである。「擬似」といっても、曖昧、いい加減という意味ではなく、科学的な概念に基づくが、純粋な科学的概念ではな…

多様性の問題への解答スケッチ

「生物多様性(biodiversity)を守ることが生態系を持続可能にする鍵だとすれば、一つの社会で人種の多様性(racial diversity)を守ることがその社会を持続させる鍵である。」という言明が真かどうか答えなさい。これが昨日の私の「多様性の問題」でした。…

多様性の問題

「生物多様性(biodiversity)を守ることが生態系を持続可能にする鍵だとすれば、一つの社会で人種の多様性(racial diversity)を守ることがその社会を持続させる鍵である。」という言明が真かどうか答えなさい。 この言明はif thenの形の条件法の文になっ…

高級車

我が家の近くに高級外車を取り扱う店があり、イギリスやイタリアの高級車が並んでいる。いずれも図体が大きく、自分は高額だと自己主張しているような気がするのは、それを買えない自分のひがみなのだろう。数百万円の車でも私より100倍の資産があれば、その…

固有名詞にこだわる自然言語

固有名詞はいつでもどこでも「特定の対象」を指示する。これは驚くべきことで、通常の記号の使用とは随分異なっている。記号とその指示対象との間の関係は規約的なものに過ぎなく、両者の間に必然的な結びつきは存在しないというのが通り相場の理解である。…

変数から定数へ、あるいは名前の本性

変数の次は定数。定数は自然言語ならば固有名詞のこと。妙高山は「妙高山」でなければ腑に落ちず、深川は「深川」と呼ばれてこそ深川だと大抵の人は断言するのではないでしょうか。確かにもののもつ性質を意図的に表現するためにつけられた名前はたくさんあ…

ライオンのたてがみ

オスライオンのたてがみは何のためにあるのか。防寒のためのマフラーでないのは確かだが、持主の首を守るためなのか、それともオスの強さをメスに誇示するためなのか。答えは後者だという。たてがみはいつも見えるが、ライオンが実際に強いかどうかはその姿…

水、光、そして大気

水はいつも光を弄ぶ。あるいは、光が水と戯れる。大気の中で、水と光は絡み合い、見事な光景、水景を醸し出してくれる。水、光、大気は私たちを生かすだけでなく、私たちに生の楽しみを実感させてくれる。私たちはそれらによって生かされている。 水と光は仲…

「変数(variable)」とは何か

デカルトがきっかけをつくった「変数」の導入によって数学は自然を表現する言語として強力な能力を獲得し、自然を理解するために不可欠の装置になりました。そこで、変数概念が拡大している実情を踏まえ、変数について簡単な整理をしておきましょう。<コン…

自然言語の逆襲と復権:デカルトの数学言語

人間は自然言語を手に入れ、さらに自然言語を乗り越える形式的な人工言語を手に入れ、それによって世界に関する知識は質も量も格段に進歩した。人間は言語をもつことによって世界を支配したのである。自然言語は20世紀以降人工言語に比べ旗色がよくないが、…

集団に固有な言語

昨日の記事の最後に私は次のように述べた。 「ヒトの個体群の存続には他の群と異なる言葉をもつ方が種内では有利。「性選択」は種内で有利だが、他の種との生存闘争には不利なものが多い。それと同じように異なる言葉が複数存在することは種内での戦いには有…

かつて人類の言語は一つだった?バベルの塔の物語と自然言語の発生メカニズム

「なるほど、彼らは一つの民で、同じ言葉を話している。この業は彼らの行いの始まりだが、おそらくこのこともやり遂げられないこともあるまい。それなら、我々は下って、彼らの言葉を乱してやろう。彼らが互いに相手の言葉を理解できなくなるように」 – 『創…

自然言語の逆襲と復権:バベルの塔

自然言語(natural language)とは日本語や英語、中国語やスペイン語のような、人間が生活する世界で使われてきた言葉、それに対して人工言語(artificial language)は人間が意図的、人工的につくり出した言葉。通信やコンピューターの操作に使われる言葉は…

有明の月

2017年の1月の最初の満月が昨日12日だった。その満月が今朝まで夜空に輝き、早朝は「有明の月」としてまだ残っていた。今朝その月は六本木ヒルズに沈み、朝日を浴びる周りのビルが眩しい。(江東区の有明からの風景で、東京タワー、六本木ヒルズ、豊洲新市場…

古代ギリシアの二大叙事詩人:ホメロスとヘシオドス

古い日本の詩人となれば、万葉歌人の額田王や柿本人麻呂が思い浮かぶが、ホメロスとヘシオドスはそれより遥かに古い。古代ギリシア世界の諸民族に広く普及していたギリシア神話のエッセンスは、吟遊詩人が口ずさむ口承の叙事詩、伝説、物語として民衆に親し…

台詞

1950年代のハリウッド映画は台詞が長く、英会話の練習に役立った。俳優はみな発音が丁寧でわかりやすかった。私が特に好きだったのはエリザベス・テイラー。喋らせたら秀逸この上なく、立て板に水。ジョン・ウェインの話し方は確かに西部の男の典型なのだろ…

時間についての警句

時間についてのうがった警句はたくさんあり、落語の落ち(さげ)や洒落のように使われる場合が多い。引用される警句の幾つかを挙げてみよう。 Time is nature's way of keeping everything from happening at once.-Woody Allen Time is what prevents ever…

表情のコミュニケーション:表情は何についての表情なのか?

人の表情が表現するのはその人の思考ではなく、感情だと思われてきました。ですから、表情だけでは哲学も科学もそれが何か正確に表現することができないが、人の喜びや悲しみはそれなりに表現でき、相手に伝えることができると信じられてきました。辞書風に…

今朝の富士山

今朝の富士山の時間的な変化。というより、時刻が変わるに応じてその姿が光の中で早朝から昼へとどのように変わるかの素直な記録。いつの時刻でも富士の姿はそれなりに人を惹きつける。画像の比較から言えることは、変わらない富士に対して、光によって変わ…

「知覚は何か」と問うこと

これこそ哲学的な問いの典型に見えるが、実のところ何が問われているのか全く不明な駄目問題。知覚の仕組みが問われているのか、知覚される内容が問われているのか、はたまた知覚の役割や意義が問われているのか、判じ物といったところである。そのことがま…

続東京の埋立地

晴海と豊洲の二つの埋立地を結ぶ橋は「春海橋」。春海は晴海ともども意図的に人々の好印象を狙った名前である。なぜ「晴」から「春」に変わったのかわからない。 春海橋のそばには、かつての晴海線(貨物鉄道で越中島から豊洲を経て晴海埠頭まで)の橋脚が残…

東京の埋立地

私のジョギングコースの一つが夢の島公園。江戸の初めから埋め立てによって土地が拡張されてきたのが東京の歴史だと言ってしまえばそれまでだが、居住地確保と膨大な家庭ゴミの処理場確保が埋め立ての目的だった。ゴミ捨て場だった埋立地がオリンピックの大…

冬の陽

冬の陽だまりの中に樹々が凛と立っている。冬の陽は低く伸びる。長い影は冬の光の証。光は影を連れて延び、樹々の姿を地べたに映し出す。光と影は互いに絡み合い、樹々の像をつくり上げる。冬の陽は樹々の重みを感じさせてくれる。 長く伸びる影は樹の命の象…