妙高のはねうま

 「妙高はねうまラインは、妙高高原駅直江津駅を結ぶ、えちごトキめき鉄道の路線です。この「はねうま」は馬の雪形として人々に親しまれています。

 馬の雪形は日本全国にたくさんあります。有名なのは北アルプスの白馬(しろうま)岳に現れる「代かき馬」で、白馬(はくば)村の名前にもなっています。代かき馬の雪形のある「代馬(しろうま)岳」が、地図をつくるときに「白馬岳」と書かれ、それが山の名前になりました。馬がついた雪形は、新潟県内に54あり、中でも形の美しさでは妙高山の「跳ね馬」が断トツです。この雪形は妙高山の外輪山である神奈山の中腹に現れます(写真参照)。

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 昔から「跳ね馬」という名前に統一されていたわけではなく、各地で違った風に呼ばれていました。昔は牛形も使われていました。旧高田藩士が編集した『越後頸城郡誌稿』(明治34年刊)に「牛形残雪」のことが出てきますし、登山家の小島烏水が書いた「雪の白峰」(『山岳』明治41年刊)には、「妙高山の農牛」が登場します。

 上越市出身の児童文学者、小川未明の童話に「牛女」という作品があります。これは妙高山が舞台とされています。この牛女の姿が山に現れたというのは雪形を指し、妙高山の雪形の当時の呼称である「牛形」をヒントにしたと言われています。小川未明は旧制高田中学、早稲田大学の英文科を卒業、坪内逍遥島村抱月から指導を受けました。遊蕩を描かない小説家は漱石小川未明と言われるほどに、児童文学中心に活動しました。「牛女」を読むと、親子の絆を描いた美談というより、(遊蕩を描いた荷風の『濹東綺譚』とは明らかに違いますが、)聾唖の母と息子の異常で特異な関係、村人と母子の差別的な関係を描いた奇談とも読めるのが何とも不思議です。
 

この文章は次のものを参考にしました。

新潟県上越地方の雪形 http://haneuma.jimdo.com/

 

小川未明の「牛女」はWebで読むことができます。

小川未明「牛女」 http://www.aozora.gr.jp/cards/001475/files/50993_46240.html