点にまつわる10の問題

 ユークリッド幾何学定義を問いの形で表現すると一体どのような問いになるのだろうか?

 

第1問:無限はこの物理的世界に存在するか?

 物質は有限的に表現できるが、時間と空間は無限を含むというのが現在の解答である。それぞれが有限、無限に分かれる理由は基本単位がサイズをもつか否かによる。物質の基本単位は素粒子でサイズがあり、その数は有限。時空の基本単位はサイズのない「点」であり、実数で表現される。

 

第2問:無限は一つの対象として存在するか?

 可能無限(potential infinityは限りなく続くという過程を意味しているのに対し、実無限(actual infinityは独立した集合として考えることができる。無限は限りなく続くところに注目すべきなのか、それとも完結するところに注目すべきなのか。無限は可能的だと考えたアリストテレスと、実無限の存在を信じたカントールのいずれに軍配を上げるべきなのか(アリストテレスは可能無限だけ認め、実無限を求めなかった)。

 

第3問:限りなく続く数列はまとまった対象として存在できるか?

 動いている最中の運動はまとまった運動として完結していないように、限りなく続く数列は完結した対象ではない。だが、限りなく続く数列を完結したものと捉えないと、数列に対して代数的な演算を行うことができない。

 

第4問:点から線をつくることができるか?

 ユークリッド幾何学は点から線をつくることができることを定義として認めることからスタートする。だが、時間や空間さえ離散的と考える統一理論や極端な直観主義数学では点から線ができることを否定し、点にはサイズがあると考える。

 

第5問:一番小さな数、一番大きな数は存在するか?

 無限小(infinitesimal) が存在すれば、定義上それが最小の数となる。自然数には一番大きな数があるのだろうか。有限の場合は簡単にその存在を証明できても、無限になるとその証明は厄介である。

 

第6問:0.1と0.11の間にある実数と1と50兆の間にある実数の個数はいずれが多いか?

  同じ個数の実数がある、が解答である。だが、直線でそれぞれの区間を表現したとき、その長さは大変違っている。それゆえ、個数と長さは根本的に異なる概念である。

 

第7問:区間〔0, 1〕から任意の有理数を取り出す確率は?

 区間〔0, 1〕の中にある有理数の個数は無限であるが、それにもかかわらず、任意の有理数を取り出す確率は0である。確率空間が無限を含む場合、不可能なことが確率0、確実なことが確率1という常識は修正しなければならない。

 

第8問:開区間(0, 1)の中の最大数、最小数は何か?

 開区間には最小、最大の数はない。限りなく0、1に近い数は存在するが、0と1はこの区間にはない。そのような開区間をまとまった対象として認めるのが常識的な数学である。

 

第9問:実数や点はどのような存在か ?

  物理世界の対象との比較から、個々の実数や点はこの物理世界には存在しない。物理的に存在するための条件を満たしていないからである。数学的な対象だと認めても、その存在が仮定無しに証明できるものではない。

 

第10問:物理的対象と数学的対象は何がどのように異なるのか?

  異なる点を列挙するのは容易だが、逆に同じ点は何なのか。物理的な世界で透明な数学的対象、数学的な世界で透明な物理的対象という点で、相互に干渉し合わないことが理想であるが、現実はそうでもない。

 

最後に

 全てはサイズのない点から始まった(ユークリッドの『原論』のスタート)。サイズのない点こそ数学化の原点である。点は数0と密接に結びつき、世界についてのモデルや解釈に不可欠なものになった。

(1)サイズのない点から線をつくると、その線は連続体の濃度となる。

(2)1を単位とする自然数の個数は可算個で、連続体の濃度はそれより大きく、非可算である。  

(3)世界はサイズのある粒子からなり、サイズのある粒子の運動変化はサイズのない点によって表現される。