伝統を守る、規則を守る

 5月3日は憲法記念日。例年の如く、各地で行事が行われた。そこでは護憲、改憲それぞれの立場、主張が繰り広げられた。

 「伝統を守る」とは伝統を変えず、伝統を継承することである。伝統を変えることを拒み、祖先から引き継いだものをそのまま、次の世代に継承することが「伝統を守る」ということ。文化を守ること、しきたりや習慣を守ることも同じで、要は変えないことである。「憲法を守る」という護憲思想も、この伝統を守ることと同じで、憲法を変えないことである。その理由も、伝統が正しく、守る価値のあるものだから変えないというのと同じで、憲法は正しく、守る価値があるからである。

 「規則を守る」とは規則に従い、規則に反することをしないことである。法律や条例で定められたことを遵守することが「規則を守る」ことだが、規則を決めること、変えること、廃止することは私たちの合意のもとに自由に行われる。規則を守ることと、規則を変えることは私たちの社会では両立している。だから、社会の変化に合わせて法律は常に変えられている。

 自由に規則を作り、変えることは伝統や習慣を一途に守ることとは違うが、二つは両立するもので、伝統や習慣を考慮しながら規則の運用や改変が議論されてきた。

 したがって、「憲法を守る」には二つの意味がある。「伝統を守る」という意味での「憲法を守る」が一つ目、「規則を守る」という意味での「憲法を守る」が二つ目の意味である。この結論は月並みで平凡なものだが、二つの「守る」に共通点があるかどうか、という問いは考える価値のあるものである。いずれも「守る」現象、「守る」行為としては同じなのである。「伝統を守るように第9条を守る」ことと「第9条を守って戦争しない」こととは何が違うのか。現象や行為として、そして気持ちの上でも、何も違わない。

 こうして、護憲の立場と改憲の立場が最初から根本的に異なるなどと考えることが如何に的外れであるかわかるだろう。最後に一言。「第9条を守って戦争しない」ことの理由は簡単だが、「伝統を守るように第9条を守る」ことの理由は様々に考えることができ、時にはこの命題が誤りだと考えることもできる。

*「5.3憲法集会」が有明の東京広域防災公園で開かれた。コンサート、スピーチ、パレードが行われ、いつも通りのパフォーマンス。今年目立ったのは警視庁の警戒で、公園の出入り口だけでなく、周りの道路、交差点には多数の機動隊員が導入されていた。右翼の街宣車は多くないのに、これを訓練の機会にするかのように機動隊の存在が目立っていた。

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