陸閘(りっこう、りくこう)

 私にはこのタイトルの漢字が読めなかったし、意味も当然わからなかった。調べてみると、防潮堤(壁)が道路を横切る場所に設けるゲートで、英語ならさしずめwater gateというところか。「防潮扉」とも呼ばれていて、この名前はわかりやすい。陸閘は普通の時は車両が通行できるように開放されているが、高潮や増水の時には道路を閉鎖して、水の浸入を防ぐ装置である。

 私たちは風景を見ているようで見ていないと述べてきたが、今回もその例である。何度も通る横断歩道にレールが敷かれているのがたまたま目に入ったのだ。こんなところにもかつての貨物線の線路があったのかと早合点したものの、レールは一本しか見えない。それで周りを見ると道路の両端に奇妙なコンクリートと鉄の塊があるではないか。何かと訝りながら、調べると鉄の扉のようなものが横断歩道のレール上を動いて道を封鎖するようになっていることが推測できた。周りの幾つかの表示を読むと、水の流入を防ぐ扉で、これが閉まると防潮堤が完成することが地形の上からも理解できた。普段は道路として使うが、非常時は扉を閉じて防潮堤にするという仕組みなのである。

 成程と思いながら見れば、コンクリートの防潮壁がずっと晴海通りまで延びているではないか。晴海通りの標高は高いので、その高さに合わせて防潮壁の高さが決められている。反対方向は高台で都営東雲二丁目アパートがあり、その坂に防潮扉がはまるようになっている。このアパートの反対側は「都橋」と呼ばれるが、橋がないのになぜ「都橋」なのか不思議だった。これも昔の地図を調べると、かつてここにあった橋の名前で、やはり埋め立てでなくなった運河に架かっていた。

 都橋から晴海通りまでの防潮壁は晴海通りを越えても続いている。こちらは比較的新しく、辰巳の水門まで続いている。水門も高潮が来れば閉められる。

 同じような陸閘が晴海にもあることを知り、行ってみた。何と3つも扉があり、東雲よりずっと長い。晴海郵便局の裏側にあるのだが、東雲と違って防潮壁が途切れ途切れで、果たして現在の姿で効果があるのかどうかわからない。道路や建物がつくり変えられ、すっかり地形が変わったにもかかわらず、防潮扉だけが残ったように見える。いずれ詳しく調べてみたい。

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(東雲2丁目団地前の交差点にある防潮扉)

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(分厚い扉)

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(防潮扉に続く防潮壁)

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(晴海通りを越えての防潮壁)

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(辰巳水門)

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(晴海郵便局裏の防潮扉)

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(晴海の防潮扉)