葛(クズ)

  日本を代表する蔓(つる)植物の一つ。マメ科の植物だが、それが東雲運河の旧防波堤に生茂っている。周りの木々に取り付き、蔓の特性を遺憾なく発揮し、空間を支配している。この横暴で、憎々しい振舞いの最後に、晩夏から初秋にかけて赤紫色の花を咲かせ、豆状の種子をつける。

 ところが、この憎まれ者は人の役に立ってきた。クズの根から採れるでんぷん粉は葛粉(くずこ)と呼ばれ、西日本では古くから食料や和菓子の葛餅の原料として利用されてきた。熱を加えて溶かしたものは固まると透明、あるいは半透明になり、葛切りや葛餅などに用いられている。また、根を乾燥させたものの生薬名は葛根(かっこん)。発汗作用・鎮痛作用があるとされ、風邪や胃腸不良の時の民間治療薬として古くから用いられてきた。そのためか、万葉の昔から秋の七草の一つ。

 クズは根茎で増殖するため、地上部のつるを刈り取っても地下に根茎が残り、すぐに蔓が再生する。この再生能力も実に見事なもので、数日で1mほども伸びる。

 蔓を伸ばし、樹木に絡まりつくクズを好きな人は少ないだろうが、これからの季節に葛切りが好きな人は今でも結構多いのではないか。

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