セミの季節

  夏休みに入ると、何日かはセミを捕るのが私の仕事だった。昆虫採集は名目で、セミやトンボを捕ること自体が目的だった。一過性のもので直に飽き、大した殺戮者という訳ではなかった。子供の頃に圧倒的に多かったのがアブラゼミ、そしてミンミンゼミで、クマゼミは少なかった。アブラゼミは「ジジジジジ」「ジリジリジリ」という鳴き方が日中の暑さを倍増させるような響きで、「油で揚げるような」と言われ、そこから「アブラゼミ」と名づけられた。

 さて、近くに有明テニスの森公園があり、大木が多い。夏休みに入り、利用者が増え、朝からボールを打つ音が響いている。そんな中でひときわうるさいのがセミたちの鳴き声。午前中はクマゼミ、午後はミンミンゼミと棲み分けがなされているように聞こえる。なぜ一緒に鳴かないのか、ちょっと気になり、調べてみた。

 クマゼミは関東南部、東海、北陸地方および西日本に生息していて、センダンやキンモクセイ、サクラなどにとまり、「シャシャシャ」、「センセンセン」と鳴く。ミンミンゼミとは音のベースが同じで、鳴き声をゆっくり再生すればミンミンゼミに、早く再生すればクマゼミになるという。だから、同じ時期の同じ時間帯に同じ場所に発生することがなく、棲み分けている。クマゼミが鳴く時間帯は日の出から正午までの午前中。  ミンミンゼミは北海道から九州に生息しているが、西日本での平地にはほとんど生息しておらず標高の高い山にいる。ミンミンゼミが鳴く時間帯も日の出から正午にかけての午前中だが、同じ場所にクマゼミがいる場合は、ミンミンゼミは午後に鳴く傾向がある。この2種は場所や時期、鳴く時間帯で棲み分けをしていて、これで私の疑問はとりあえず解消という訳である。

 だが、クマゼミとミンミンゼミの棲み分けの進化とその過程の謎は残ったままである。たかがセミ、されどセミ、というのがセミの進化学の奥深いところである。

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有明テニスの森公園

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クマゼミがいるのだが…)

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アブラゼミ

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クマゼミ

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(ミンミンゼミ)