センスのない夢

  子供の頃、ジェット機やロケットより水上飛行機に憧れたものだ。水上飛行機は今では遺物という感じがしないでもないが、それに似ているのが水陸両用の乗り物。軍隊の上陸用舟艇の他に思いつかなかったが、最近はそのようなバスがあり、観光地で使われている。

 子供じみた夢となれば、空水陸どこでも使える乗物だろう。戦艦ヤマトやU.S.S.エンタープライズはそれに近いのだが、いずれも架空のもの。だが、何故か空水陸どこでも使える乗物はセンスがないと思ってしまう。船が翼をつけて舞い上がるというアイデアは何とも心は舞い上がらないもの。

 私たちは車のように速く走れない、船のように水上を動けない、飛行機のように自由に空を飛べない。いずれも実現したい夢なのだが、不思議なことに三つ(あるいは二つ)が同時に満たされるような状況を私たちは嘘っぽく思うのである。

 

 この夏後半に豊洲で運行がスタートするとみられている水陸両用のバス「スカイダック」が姿を見せた。スカイダック日の丸自動車興業の水陸両用バスで、現在は東京スカイツリーコースを行くスカイダック東京と横浜コースのスカイダック横浜がある。既に豊洲とお台場にも水陸両用バス用のスロープが完成していた。船着き場ならぬバス着き場である。豊洲での水陸両用バスの運行は早ければ2017年8月下旬になるらしい。

 

 それにしても人間は衣食住のあらゆるものを巧みに組み合わせて合成することが好きだけでなく、うまい。個人用の住宅、工場、倉庫、神社仏閣、美術館や図書館等々、実に多様な建物が様々なデザインでつくられている。食べ物の種類は実の膨大で、食材も味も幅広い。着物となれば、色も形も毎年の流行を楽しむ人が多い。衣食住以外となれば、乗り物も実に多様。乗物の中の両用の一つが今回のバスである。

 「兼用、両用、流用」という言葉がどんな意味合いで使われているか振り返ってみれば、私の心が舞い上がらない理由が見えてくるのではないか。私たちは自由に組み合わせて多様なものを作り出すのがうまいだけでなく、どうも一つの用途に特化し、それを極めたものも好むようで、使い回しは嫌われるのである。バスのスポーツカーを追求する人がいても構わないのだが、そんな人にはなかなかお目にかかれない。人の好みとは面妖なものである。

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