粋な色:深川鼠だけでなく…

 それぞれの時代にはその時代の色があった。天平の鮮やかな色に比べ、江戸の色となれば、薄い青緑みの灰色。狂歌で有名な大田南畝は『手鏡模様節用』の中で、「みなと鼠。此のころ流行して「深川鼠」と云ふ」と書き記している。深川芸者の間で流行ったことから、深川鼠と呼ばれるようになり、それが江戸の庶民の間で流行した。幕府による奢侈禁止令がたびたび出された江戸では、様々な鼠色が「粋な色」になった。

 さらに、鼠色以外で江戸、そして東京で好まれた色が二色ある。歌舞伎の「助六由縁江戸桜」で、花川戸の助六が鉢巻にしているのが「江戸紫」。流行していた京都の紫染を真似て、紫草の根を用いて江戸で染めた色とされている。紫草の根には解熱、消毒作用がある。その男っぷりの良さ、健康でパワフルな男の象徴とされた助六の鉢巻は、江戸の男衆の間で粋なファッションとなった。

 色鮮やかな緑がかった青色が「新橋色」。明治の終わりから新橋の芸者衆の間で流行した着物の色で、「新橋色」と呼ばれた。新橋芸者は木挽町の芝居小屋の周りの料亭や舟宿の町芸者が始まりとされる。粋でハイカラな新橋芸者が身につけたのがこの色で、新橋色は正に明治の東京の粋な色だった。

 ところで、現在の日本の粋な色は何だろうか?

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